1話(あらすじ)

現代・コメディ・ハッピーエンド・20000字程度 自他ともに認める美少年の僕は、痴漢にあったり、夜道で襲われたり、友達に突然告白されたり毎日悲惨。普通の容姿に憧れて、神様に願ったら一週間だけ叶えられた。地味女の生活を楽し…

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2話

-今日も無事、後ろの貞操を守れました。 もはや誰も見向きもしない小さな社(やしろ)に僕は手を合わせた。割れたおちょこにミネラルウォーターを注ぐ。これは、変質者に追いかけられてこの社を見つけてから、日課にしていることだ。こ…

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3話

このなんとも微妙な顔。不細工というほどのインパクトもなく、美人という程整っていない。この一重の目が絶妙だ。視界がいつもより狭く感じる。髪も、綺麗な黒髪、という程の艶もなく、ほどよくパサついている。デブという程でもなく、ス…

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4話

信じられない。どうなってるの。 私、末黒 幸はある朝、姿見の前に立ち尽くしていた。これは、昨日電車で痴漢されながらも、涼しい顔でスマホを見ていた藤澤君そのものではないか。藤澤君と言えば、お金持ちの一人息子で、桁違いの美少…

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5話

佐々くんと、そのまま登校した。道行く人がみんな、振り返る。佐々くんと私。まるでカップルみたいだ。「昼飯、一緒に食おう」と教室で別れるとき言われた。よく考えたら私は藤澤くんなんだから、ちひろたちと昼御飯を食べられない。私は…

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6話

ちょっと気になったから、昼飯を食べ終わってから、地味女のクラスを覗いてみることにした。なぜか、僕がいた。そして、さらに謎なことに、昨日絶縁宣言された佐々と弁当を食っていた。佐々は僕に何やら話しかけては、僕の家のタッパーか…

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7話

朝。いそいそ佐々君のために弁当を詰めることから、私の一日は始まる。 彼はお肉が好きなので、タッパーからお肉系のおかずを選んで、彩りも気にしながら詰めていく。弁当の準備が終わったら、今度はスマホのチェックだ。未読はゼロ件。…

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8話

ありえないありえない、を僕は頭の中で繰り返した。どう考えても、これはヤられている。僕がずっとずっとずっと、守ってきたものが、ほんの一週間でめちゃくちゃにされてしまった。僕は忌々しい気持ちで、学校に行く準備を始めた。一体誰…

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9話

学校に着くなり、僕はお地蔵さんへの怒りをそのまま地味女にぶつけるべく、二つ隣のクラスに突撃した。 「末黒さん、ちょっと僕と話しようよ」 僕が声をかけると、黒髪が振り返った。その顔を見て不思議な気持ちになった。なんとなく、…

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10話(最終話)

いや、終わりじゃないかもしれない。あんなショボいお地蔵さんにもすごい力があるんだから、他の神様にも頼んでみたらいいんじゃないか。お稲荷さんとか、えべっさんとか、ナントカ神宮とか。心を込めて祈れば、石ころにしてもらえるかも…

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