5話

佐々くんと、そのまま登校した。道行く人がみんな、振り返る。佐々くんと私。まるでカップルみたいだ。「昼飯、一緒に食おう」と教室で別れるとき言われた。よく考えたら私は藤澤くんなんだから、ちひろたちと昼御飯を食べられない。私はたくさんお弁当を持ってきたことを伝えた。佐々くんは、目が無くなりそうなぐらい笑って「葵衣がそんなことしてくれるなんて、初めてだ」と言った。

昼休みが待ち遠しいな、とトイレで手を洗ってニヤニヤしていると、(ニヤニヤしている藤澤くんは、悪巧みをする小悪魔みたいでとてもかわいい)学校イチイケメンの麓王(ろくおう)君が現れた。ちょっと悪そうな雰囲気がある俺様タイプで、派手な女子に人気がある。

もちろん、私は彼の視界に入ったことは無い。いや、正確にはある。でもそれは女生徒Aどころか、「邪魔、うざ」と障害物A扱いされた、悲しい思い出だ。よって、私はこの人には良いイメージが無い。水道を止めて立ち去ることにした。

「葵衣、なんで無視すんの」
さすが藤澤くんだ。麓王君にまで気に止められる。私は、過去の復讐をすることにした。

「邪魔、うざ」

麓王君の顔が歪む。言い返してやった!とガッツポーズを心の中でしたのも束の間、普通に腕を掴まれて、トイレの個室に連れ込まれてしまった。

奥に追いやられてビビっていると「葵衣、俺のこと舐めてるよな。お前、自分の立場分かってる?いつでも俺はお前のことどうとでもできるんだせ?」とドスのきいた声で脅しつけてきた。怖すぎる。私はすぐに生意気言ってごめんなさい、と謝った。

麓王君は一瞬きょとんとして、次に悪魔みたいににやっと笑った。
「どうしたんだよ、葵衣、突然かわいくなっちゃって」手がにゅっと延びてきて、シャツを全部ズボンから出された。「え、な、なに?」麓王君は私を、というか藤澤くんの服を脱がせていく。まさかの、これは、そういうこと?人生初の性的な何かが始まりそうな予感だ。

上半身を裸にされ、ズボンまで半分下ろされて相当恥ずかしい姿にされた。隠そうとする私の手を制しながら、麓王君は「葵衣、俺にして欲しかったんだな……?変な煽り方しなくてもいいのに」などと俺様ワードを発する。そして、今朝私が一番色っぽいと思ったところを舐めた。「あん!」ぞくっとしてつい声が出てしまった。藤澤くんの透明なあえぎ声は、麓王くんのお気に召したらしい。急に火がついたみたいに盛りだした。

私が遠慮したパンツの中にも遠慮なく手を入れてくる。さっきの痴漢とは違って、これは学校イチイケメンの麓王くんだ。怖いどころかときめきが止まらない。佐々くんみたいなほんわかもいいけど、こういう強引なのも意外とキュンキュンくる。初めて勃起する感覚を珍しく思いながら、私はされるがままになっていた。「葵衣、エロい顔してんなあ。気持ちいいか?」「……うん、気持ちいい」それは、とっても素直な感想だった。「……そろそろ、入れるぞ。お前を俺のものにする」と言われて、体が裂けるか、と思うようなとんでもないことを始められるまでは。

「あ!痛い、痛いよ!」「力抜けよ、また先も入ってねえし」べし、とおしりを叩かれた。「やめて、やめてよ!!」私は無駄とわかっていたけど暴れた。「んー。なんかいいなあ、こういう葵衣」無駄どころか、余計喜んでいる。「後ろ向いた方が入れやすいよな、そこに手、ついて」麓王君は私にトイレのタンクを持て、と指示してきた。こんなのひどすぎる。私、初めてなのに。

「こんなところで初体験は嫌だよ!」

と叫んで、悲しみのあまりわんわん泣いた。麓王君は、急におろおろした。

「ごめん、ごめんな、葵衣。俺焦っちゃった。お前のために最高の初体験プラン用意するから」

実際藤澤君が処女なのかどうだかは知らないけど、とにかく痛い目に会わなくてよかった。麓王君は、「今日の葵衣は最高」と褒めたたえてくれた。確かに藤澤君はクールキャラだから、わんわん泣いたりなんかしないんだろう。

これが現実なら、急激なキャラ変になっているけど、いいのかな。

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