SSS+++の俺の属性がドMだった話

お題箱にいただいたお題です。
「高飛車無様堕ち」

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「ご、ごめんなさい、身の程知れって感じだよね、私なんかが告白なんて、失礼しました。本当に申し訳ないです……だから、だからお願い!」

──そんな頭虫ウザ……みたいな目で見ないで下さい、これからは2mルール守りますから!!──

早口で捲し立て、制服のプリーツを揺らしながら女は去った。ところで誰だったか。隣のクラス、いや、一コ上だろうか。

校舎の角から幾つも腕が生えてくる、女はその腕に絡め取られ引っ張り込まれ、見えなくなった。 

「ほらー、だから言ったじゃん」
「いい加減顔だけで選ぶのやめな?」

甲高い女共の声はどこでもよく響く。俺に聞こえてないと思ってるのでなければ当て擦りということになるが、「顔だけで選ばれる俺」悪くない。

というより、俺を選び振られる事が確定しているにも関わらず告って来たツラの皮の厚さ、実際の顔面レベルその他センスも含め、決して悪くなかった。根性だけ褒めてやっても良かったのに、何を言う間も無く勝手に振られてくれた。手間が省けて良かった。

ただ、まあ、俺に見合う次元では無かったことに違いはない。済まないがステージが違う。言うなれば俺はまだ配信されてないゲームだ。さらに言えばゲーム開始時のみ0.00001%の確率で配布されるSSS+++カードのようなもの。俺を狙う……それ即ちリセマラ地獄に身を投じる廃人ゲーオタと同義である。諦めろ。視線が合ったことを幸福と思え。

そもそも話しかけるなこの俺に。視界に入る事さえ本来ならば許可しない。俺の視界に入っていいものは俺が決める。

まず自然物。
次にデザインの優れた造形物。
最後に刈り取り前の田。特に棚田。
あれは良いものだ。米を産み出す上にさらに美しいという奇跡、俺の次に凄い。

まあそれは置いておいて、兎に角だ。
勝手に出来た2mルールに則り、一般人は俺の視界に入るべきでない。

スタイル顔面頭脳運動神経出自まで全て最高レベルを兼ね備えたこの俺が、高校という名の牢獄で一日の大半を過ごしてやっているのだ。「性格悪い」「偉そう」「王様気取り」ああ、お前らがコソコソ陰口叩く通りかもしれないな。しかしな、俺は特に何もしていない。起床し、ダッセエ制服やらジャージやらを規則どおり着用して登下校してやってるんだ。性格だの口調だのまで気を使っていられるか。嫌ならイジメて不登校に追い込んでみろ。

「な!」
「な! じゃないだろ……予鈴鳴り終わってるよ七海君」
「……む」

 いつの間に居たのか、同じクラスの男・福江がぼや~んと立っていた。俺はどうやら、知らぬ間にこいつの存在を感じ取り、思考の同意を求めてしまっていた。大変遺憾だ。この福江なる大男はいつも2mぎりの場所をウロついている奴だ。ちなみに「俺の視界に入っていいもの3つ」の中に入っていない。パシリ・護衛役としては役立つが、今は特に用はない。つまり、去れ。

「また、フッたんだね……。これでぴったり22人目なんだけど知ってた?」
「知らね」
「そっか、わざわざ数えないか。そうだよね、……ふふ、それでこそ七海君だ」
「どれでこそだよ」
「君が、女子の告白なんか受けるはずないって事……ニャンニャンの日がついに来たってことも、知らないよね」
「……は?」

 何を言ってるんだこいつは。キモい……いつもキモいけど今日は特にキモい。福江はグフグフ背を屈め妙な笑い声を上げている。でかい拳を丸めて口に当て、隙間から見える分厚い唇はキモいとしか表現できぬ形に歪んでいる。俺は当然の権利として、福江を放り牢獄の中に戻ることにした。数学を終えたら終礼、それに続くのは四連休だ。耐えねばならない時間は、後少し……30余名が詰め込まれた教室は苦痛だが、こうして福江と相対しているよりはまだマシだ。美しくも汚くもない造形物である「机」を見ておれば済む話……。

「……」 

 む。
 前に進めんが。

 見れば、福江が俺の腕をつかんでいる。つかんで……漬かんで、つか……着かんで……いかん、余りの衝撃に脳がバグった。

「何してんだ貴様、俺に触れるな」
「が、がわい……偉そうなネコチャンがわいいッッ!」
「は」
「ひい無理……手のひら溶けちゃう、七海チャンの腕って案外細いんだねえ、腹筋割れてるのに……骨が細いのかな、グフ、さ、おいで~」
「……おい、離せよ……さわんじゃね……──ぎゃっ!」

 視界が180度回転した。福江がグフグフ言ってた視界は、自然物……つまり雑草が生えた地面に変わった。
 俺は、福江の肩に担ぎ上げられている。
 
 なんだ、なんだなんだなんだ?

「降ろせや! ゴミクソ!」
「おほ、その言葉遣い新鮮で萌えますぞっ! そのかわいいツンツンお口から言わせたいランク圏外だけど……グフ」
「……」

 待ってくれ脳が腐る。ていうかそっち教室じゃねえし。お前、何考えて──。

 ま さ か。

 足をばたつかせて蹴ることができる場所は蹴り、拳で殴りまくるが、一向に福江の足は止まらない。のしのし歩きの末福江が俺を運び入れたのは、謎の倉庫風建築物だ。こんなのあったか? いや、無かった。今生えた。

 もう一度言う。俺はスタイル顔面頭脳運動神経出自を含め、全て最高ランクの人間だ。だからこういった拉致的なものへの遭遇率が高い。しかし俺をつけ狙う不届き者は大概強烈なヤバイオーラを出している上、見知らぬ人間ばかりだった。だから、早めに対応出来た。

しかしこの福江の場合、二年に渡り俺の心地良いパーソナルスペースである約2mルールを侵すことなく、忠実な下僕を続けて来た。だから、ノーマークだった。

──油断……したのか、この俺が。

 されられたのか。こんな、ウスノロマ野郎に。

「てめえ、こんなことして、……お?」

 ゆっくり下ろされた先がふわふわで、一瞬言葉を止めてしまった。マットレスにムートンは悪くない。

「じゃねえよ! お前、まさか、まさかまさかまさか違うよな。もし俺の予想のどれかなら、身代金選べ」
 
 何故か、福江がわーいと万歳をした。その無邪気さ、∞。

「身代金は外れでそのまさかまさかの方だよ! ボクは君を入学式で見たその時から確信してた。ああ、分かってないけどこの子アレだなって……でも、君はちょっと良く出来すぎてた。だから自分では気づけないし。しかも警戒心強くて人を寄せ付けないもんだから、気づく人がいない、よって気づかせてもらえない……でも、それがボクにとってはラッキーだったな。潮七海君、君はね、いつだってツンとして高慢……──高慢ドMだよ」

 ドエムだよ。
 ドエムだよ。
 ドエムだよ。

 こだまでしょうか。いいえ、残響──。

 福江が茫然とする俺に覆いかぶさって来た。思いつく限りのバリエーションの罵詈雑言をぶつけるが、福江は喜ぶばかりだ。圏外、圏外、想定内、圏外ながらもエクセレント……俺の発言をジャッジしては、腕にぐるぐると何らかを巻き付け、つつがなく終了した。

「おい……なあ、やめてくれよ……」

 福江が重いから息切れしかけの「やめてくれよ」に福江はいたく喜んだ。ランキング圏内だったらしい。

「がわいぃ……よちよちしたい……でも七海チャンはドMだからナ……ここは心をー鬼にして♡︎、脱がせんぞ、七海」

──……!☆△?♡

 今、俺様を呼び捨てにしたか。いや、それよりも待て待て待て、脱がせんなよズボンを、ズボンだけじゃ、ね、

「いっ……!」

 パチン! この破裂音、痛み、部位……もしや、俺の尻が叩かれた……のか? だって俺、仰向けじゃん? 尻叩かれるのおかしくね……?
 そろそろ目をやれば、目蓋を閉じざるを得ない光景だ。俺の両足はひとまとめにされ、折り曲げられ、奴の肩に乗ってい、

「……気持ちよく、なってくるからね……あは、元が白いから手形くっきり……」

 バチン! バチン! 福江が、俺の尻を嬉々として叩き続ける。

「わけ、わかんね……! 痛……って、お前、これただのヘンタイレベルじゃねえからな、立派な犯罪……う!」

 バチン! バチン!

 四日後もそう言えたらいいね、だそうだ。言えるに決まってんだろが。社会的に闇に葬り去ってやる、こんな屈辱を俺様に与えるとは、死罪だ。島流しだ、島、し……、

 バチン!

「いっ……♡︎」
「あ、来たかな~? じゃあ見ちゃうぞ、見ちゃうぞ……っ! 七海チャンのおちんちん……あ、ああ! すごいっ! すごいですぞご覧あれ」

 シャツで隠れていたそこが露わにされ、ご覧あれと言われる迄もなく目に入ってくる。まさか、まさかまさか、

 勃っ……

「あ、さわんな、きめえ、さわんなあ、あ、」

 福江が握り込んで鼻歌まじりで俺の聖なるイチモツを擦り始めた。いてえ、いてえんだよ、力強すぎ、

「くそ下手くそ、が……♡もっと、弱く、しろ、や♡︎」
「あああああ! 七海チャンっ! 反則、反則ですぞ! その罵り喘ぎ!」

 俺は屈辱を超える屈辱を表す言葉を探す︎♡でも俺の下半身がそれを許さない…♡︎
 ゴシゴシされる、俺の聖なる……聖な……る、こんな凡人が触れていい、はず、ない、俺の、俺、の。

 ぷつ。

「う、ううっ……あ、あは、気持ちい、ちんちん、気持ちい……」
「いきなりの三位!」
「あ、あんっ♡︎ いっちゃう…っ、俺の優秀なセーシ、でちゃう、よお……」
「八位……! やべ、俺の息子がやべえ! ナナミチャンっ! お口っ」

 ぶっとい指が俺の麗しい唇を押し開く。そこにイカくさいものが突っ込まれた。反射で吐きそうにな……らない。
 福江が、俺のちんちんに同じこと、してるから……♡︎ あ、噛まれてる、いてえ♡︎ チンチン噛まれるの痛えよお……、

「う、うぷ、う、うんっ 、あむ」
「じょうず…っ七海ヒャン、美味しい液出て来たよお」
「あ…、う、ん、あぐ♡︎ あ、あ」
「コラ~ 休んじゃだめだろ!」

 バチン! アンド ニュル、ズボ。

 ズボ?
 何ら? いや、何だ。 取り戻せ、俺、帰ってこい。俺は、潮七海。SSS……の……だ……ぞ。

「今、指二本。慣れたからこれ入れまーす。七海チャン処女すぎて狭狭だからゆーっくり拡張してくからね。俺が優しいご主人様で良かったね~」
「あ、ひゃ、あ……クソやろ……」
「いた! コラ! 俺はMじゃないんだから! チンコ噛むな! お仕置きだぞ!」

 バチン!

「うっ……♡︎」
「ごめんなさいは?」
 
 バチン!
 バチン!
 バチン!

 あ、あああ、ああ……あ──!!!

 ビシャ。

「ごめんな、さ、い……ぃ」

 俺は盛大にセーシを撒き散らしてしまった。
 途端、ピタっと尻ビンタが止んだ。

「一位……え、ナナミちゃん、初日、1時間で、もう、一位……」

 え、何なの何なの。俺がっかりさせちゃったの。福江、俺もっと……もっと耐えるべきだった?

「もう、ペチンしてくんないの……かよ」

 久々に閉じていた目を開けてみれば、福江は泣いていた。

「するに決まってる! でもまだ四日、四日もあるんだぞ……! 七海チョロすぎじゃねえかよ……うう、負けねえぞ……ようし、新しくゼロ位作る……その前にチュウだ、まだチュウしてなかった、七海チャン、好きだ、好きだあ、俺はご主人様になるけど、惚れてるからな! 弱々のご主人だ!」

 意味不明の演説の後、イカくさいキスがはじまった……♡
 福江の唇は分厚く、舌も大きく分厚い。しかもとんでもない唾液の量だ。
 それが、俺の繊細なビロードを舐め回している。ありえねえぞ♡

「あ、んっん、んーむ、ん、」
「はは、べとべと」
「う、うう……」
「口の中いっぱい……ごっくんしろ、七海」
 
 なに? ごっくんだと? 貴様のクソ不潔な唾液を体内に摂取しろって?
 ふざけんな、ふざけんな……ふさげんな……。

 ごっくん♡

END

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お題箱にいただいたお題です(大事なことなので二回言いました)
 

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