Twitterでやってる創作遊びの続きです。29日目「リプで貰ったタイトルからSS2000字」今日は八個のうちの六つ目です。
❻タイトル『出逢って三秒で監禁』
ケツアゴ100%さんから頂いたタイトルです。大好きな題材のタイトルをありがとうございました。 そしてイラストのご褒美まで…感謝感謝です…!最上級カースト男子感と哀れな子羊感がとっても素敵なので、まずイラストからご覧ください!(裸ちゅうい)
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始まりはほんの些細なことだった。ただの遊びの延長で、僕だってあいつだってそのつもりだったと思う。
「な、見て……コッチが最初で、今がこっち……分かるか? すんげえエロ乳首に育ったよなあ」
眼前に示されたスマホには、二枚の写真が並べられている。
左が「最初」平たい胸の中央に位置する、何の意味も成さない点。ベージュっぽい、全く主張しない乳首。
それで右が「今」平たい胸と、場所は同じ。ただ、乳輪からぷくりと膨らみ、赤らみ肥大した乳首だ。
因みに、どっちも僕の乳首だった。こんなの、どうコメントしろって言うんだ。
「何? ムシ? ちょうエロくて恥ずかしいとか、無い?」
黙っていたら、ニヤリと笑われた。
「もっとデカくしてやるからな……まだ乳首イキ出来てないもんな……俺、テク無し見たいでクヤシイからさ……ほら」
赤い舌が、ペロと出された。その先に、小さな輪っか二つがついていた。
「これで挟んでベロベロ舐め回してやるよ……な、この舌ピ、特注なんだぜ。ちょっとイボついてんだ」
得意げな口がそのまま、剥き出しの胸にしゃぶりついてきた。
「……っ、──……っ」
御自慢の舌ピが僕の乳首に吸い付いてはなぞり上げる。はじく。
脳裏に、さっき見せられた写真が浮かぶ。目を瞑っても、男のモノとは思えない程膨らんだ乳首を金属と軟体が這いずり回る様が、ありありと見える。だから、感触がこれまでより生々しくて。
「あ、っ……ン、」
「イイ? なあ、イイだろ……あ、返事いらねえよ、お前のチンポがしてくれてる……ハハ、今日はイケんじゃね? 初体験の感想、後で聞かせてな……」
一体どうしてこうなってしまったんだろう。僕はこいつに今、いわゆる「監禁」をされている。もう、そう言ってしまっていいだろう。学校帰りに遊びに来てから既に一週間こいつの家に居て、手首の縄を解いてくれない。それで、僕の身体を弄び放題だ。今でもこいつにされたあれこれが、今もされ続けていることが信じられない。完全なる「玩具」だ。
『今日もウチ来るよな?』
あの日、あいつからのその誘いに二つ返事で僕は応じた。あいつこと高尾聡(たかおさとし)と、僕|高那翠(たかなすい)は某有名国立高校で出会い、名前順で入学式では隣同士、クラスでは前後だった。明らかに「最上カーストのボス」的見た目とは違い気さくだった高尾と、特にグループに属さず誰とでもいい感じで仲良くなれる僕はあっという間に親しくなった。そして、しょっちゅう高尾の家に遊びに行くようになった。
高尾の家は僕の家がリビングにすっぽり入りそうなくらいの豪邸で、遊び道具には事欠かず、出てくる菓子やら飲み物はホテルのラウンジレベル(行ったこと無いけど)、さらに母親は社交だなんだで百パーセントいないわで、天国みたいな場所だった。
それであの日はそれに加えて、「スイちゃんが好きなそうなやつ、仕入れてある」と大画面でのAV鑑賞まで提案された。僕の家はテレビもHDDも一台きりの上、妹と姉に挟まれた中間子。そんな僕にとってスマホの無料動画以外でガッツリエロビが見られるなんて、天国を超えて異世界だった。僕は高尾の腕に自分の腕を絡みつけ「一生友達でいて」と抱きついた。
『さ、何から遊ぼっか? ゲーム? マンガ? それともコレか?』
僕は迷わず、高尾がヒラヒラ振ったエロいケースに入ったAVを見ることを選んだ。怪しげな巨大なタイトルロゴが浮かび上がってから、高尾がどこを見ているのかも気にせず、非常階段で上司役らしき男優とエロいことをする女優さんの痴態に見とれつつ自慰にふけったことが、まずかったとは思わない。「あ、ヤベ……いきそ」って言ったらティッシュの箱が差し出され、受け取った途端高尾だってトイレに前かがみで走ってったし。
もしまずかったとすれば、
『な、ちょっと腕貸して……いや、違う両方』
この言葉に応じて両手を差し出したことかもしれない。
『何?』
『コレ、ちょっと付き合ってくんない』
よりあわされた赤い縄を、ぴんと張って見せられた。
新しい彼女が緊縛好きなんだ、と高尾は言った。
『ふーん……何人目? ローテ早すぎね?』
高尾は「すぐ飽きちゃって」とイケメン顔をさらにイケメンに見せる真剣なものに変え、スマホの動画を見ながら謎の縛り方で僕の両手を縛っていく。初めてとは思えない俊敏さだ。さすが高尾……僕は自分の細い手首に施された芸術的な縛りを、すげーすげーと褒めながらいろんな角度から眺めた。
『外せる?』
腕組みしてニヤニヤする高尾を前に、あれこれやってみては「マジで取れない」と言えば、「大成功」と満足げで、そんな高尾を内心でかわいいなあとすら思ったのだ。
その後高尾がジュースやらお菓子を持ってきてゲームに誘って来たから、僕はその状態のまま「案外何でも出来るな」なんて言ってたのだけど……トイレに行きたくなってさすがにな、と何食わぬ顔でゲームを続ける高尾に頼んだ。
『な、そろそろ……ほどいて』
その当然の申し出に、高尾はコントローラーを離さなかった。視線を向けることもなかった。
『やーだよ』
一週間前まで確かに友達で、登下校も一緒だったんだ。
『は? 冗談やめろよ……面白くねえわ』
当然怒った。そしたら高尾は僕を横目で見て、綺麗な顔でにこっと笑い、
『言葉遣いが、なってないな』
ずかずかと歩み寄って来たかと思えば、長い脚で鳩尾を抉った。僕は痩せた身体を二つに折り曲げ、胃から黄色い液体を絞り出して吐き出した。
『うっ……ぐ』
どうして、その疑問を目一杯に込めて見上げると、高尾は見たことも無い形に口を歪めて微笑んだ。
『つーかまーえた! 俺のスイちゃん』
そして、それから一週間。今に至る。今に……、
「──あ、ッん……、んッ!」
乳首をねじるように噛まれたその時、僕の下半身が膨張して射精した。
初めて乳首でイかせられたことに大喜びする高尾に、僕は脱力と共に尋ねた。今なら殴られることはないだろう。
「……な、いつ、から?」
ずっと不思議だった。一体何故、は置いておいて、いつからこいつは僕を監禁するつもりでいたのだろうかと。
「ああ……」
高尾は心底悦びを残した顔のまま答えた。
「高那」
「え?」
「何クン? って俺が聞いた時、お前言ったろ、高那って」
そりゃ言うだろう。だって、僕は高那だし。
「その時」
「……は」
「あ、こいついいなって。タカナ、の言い方で全部分かったんだよな。そう──」
雷落ちた。顔も文句なしでカワイイしさ……俺、ずっとペットが欲しくてほしくて、でも動物アレルギーで飼えなくて。他のものは何でも手に入るのに、ペットだけは飼えなくて……ネコチャン飼ってるって聞いただけでそいつのこと大嫌いになって超苛めた。勿論俺だってバレないようにな……あ、話逸れそうだしムカつき蘇りそうだから分かりやすく言うな。家の前に子猫が捨てられてたのと同じ。俺の隣に、スイちゃんが入った箱が置かれた訳。でもスイちゃんは人間だから。既に家族に飼われてるから。突然持って帰れないよな? だから時間かけて準備した。まず懐いてもらうこと。それから、スイちゃんの飼い主のこと調べて、取り返されないように細工して。俺の親も説得して。
高尾は一息でまくし立て、ふうと息を吐いた。
「あー……だから、いつって聞かれたら出逢って三秒ってとこかな。オッケー? 理解来た?」
いや、来るわけねえだろ。
どうすんだ、僕。「細工した」って、どうなってんだ僕の家。
なあ教えて、高尾。
名前言っただけでペットにされる世界線なんか、僕知らないよ。
もしかして、もう、家帰すつもり無いの。
「たかお……」
涙声で見上げれば、高尾は僕の髪をくしゃくしゃ撫でた。
「いー加減ご主人様って呼ぼうぜ? 悪い子にはオヤツあげないよ?」
おしまい
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