30Days物書きチャレンジ29日目❶

Twitterでやってる創作遊びの続きです。29日目「リプで貰ったタイトルからSS2000字」貰ったやつ全部書くことにしました。数が多くなるのでこちらに投稿します。きっちり2000字は面倒なのでやめました。だいたい2000字ぐらいです。

❶タイトル『エアコンが壊れた』

米粉さんに提供頂きました。アリガトアリガト。麦茶をカランと言わせときました。エロくないけどR18描写あり。

「う、あ”、っ…! ん……──む、ぅ、……」
 奥を突かれ上げた声が、べっとりと濡れた巨大な掌に塞がれた。酸っぱい臭いと桃の甘ったるい香りがする。さっき、尻の穴にぬりたくられたヤツだ……あれなんだったんだ……汚ねえ……俺は綺麗好きなんだ。しょっちゅう手洗うし、朝、帰宅後、寝る前、一日三回シャワー浴びる派なんだ。
「う、うっ……む、っ……」
「窓開いてっから……静かに、な……」
 宥めるような上から目線の声色に苛つく。突っ込んでるからってお前が偉いわけじゃねえし、そもそも俺の声よりこのぐちゅぐしゅぱちゅぱちゅうるせえ音を──無茶な速度で出入りする、お前のソレの音を気にしろよと思う。
「……なあ……お前のガチガチチンポ……超揺れてんぞ……は、エッロ……」
──う、ぐ、……クソ……なんだよ……。
 俺には黙れって言うくせに、お前はしゃべんのかよ。むかつく、むかつく、四つん這いのこの体勢も精神的に耐えられんし、そもそも気持ち悪──いんだ、本当に。なのに腰はうねるわ、力抜けて頭ぼやっとするわ……受け入れ難いにも程がある。尻穴擦られてこんなになるの、ぐだぐだに酔ってるからだよな……この部屋の暑さで思考力マイナス一万だからだよな。俺と汗だくで一体化してるこいつだってそうだろう。そうであってくれ。男の俺でも男臭さで鼻曲がるぐらいなんだから。さっき合わせた唇もしゃぶらされた指も、どこもかしこも塩辛くて……あいつがやたらと舐めてきた、俺のなんもない胸だって首筋だって相当なもんだろう──正気の沙汰じゃない。

 ふ、はぁ、はぁ、はぁ、ふ、……は

 互いの荒々しい息とベッドが軋む音も相当煩い。窓閉めねえと、明日からやばいんじゃねえか。男同士の同居ってだけでもまあまあ家探し困ったのに、友達じゃなくてゲイでした、なんて噂が広まって追い出されたら困る、マジで困る。

 俺たちは高校の頃からの親友だ。本当にほんの数時間前まではそうだった。大学ん時も同居してたけど勿論セックスなんかしてない。卒業後、勤め先は違ったけど東京の家賃の高さにびびって今もそうしてるだけ……そうしてた筈だった。

『エアコン壊れた。修理明後日だと。マジで暑いしぬ』

 奴からの報告を受けたとき、電車内にも関わらず、スマホ相手に声が出た。その後耐えられないから飲みに行くと言う奴と合流し、何軒回ってからだったか……この酔い方ならエアコン無しでも寝れる、の確信と共に部屋に戻ったのは。なのに……今、これ……。
「あっちい……水……いや、ここは麦茶だ」 
 何の前触れもなく身勝手にでかいチンポをずるりと引き抜き、奴が氷入りの麦茶グラスを手にのしのし戻ってくる。カラン、と鳴る氷の音が清々しく、ゴクリと喉が鳴った。まず奴が半分飲んで、残りを俺に……渡さない。
「う、っ……うぁ……」
 口移しで含ませてきた。香ばしい麦茶と共に転がり込む氷に口の中「だけ」が冷やされ、むせる間に身体をひっくり返され「すっげえ……開いてる……」穴をまじまじと観賞された上でまた突っ込まれた。「屈辱」の単語が脳をかすめた。
「お……い、待て……っ、て……お前、何のつもり……!」
 やっと言えた抗議はすぐに冷えた唇に塞がれる。べろべろと動き回る舌は冷たいが、それは俺も同じでその効果は互いにすぐ消えた。熱い、熱い……冷めない、醒めない。
 なんだ、何でこうなった……。
「っ……っ!、……!っ……ぁ、」
「あ、ここ……?」 
 俺も知らなかった、どこかが奴に見つかった。最悪だ。掘られて勃っただけでも最悪なのに。
「や、や……ぅ、!」
「は……こんな真っ赤なお前、見たことねえわ……いっつも澄まして……キレーな顔して……なあ……」
「っ~~ー!!、っ、っ、……!」
「気持ちよさそ……」 
 ああ、いいよ、気持ちいい、何だよこれ。頭白くなるし脳溶けそう。いや溶けてる、確実に溶けてる。脚開いて腰突きだして、奴の腹筋にチンポ擦り付けて……こんなのエロビの女優でもしない。
──あ、そう、だ……。
 思い出した。このバカが、俺が水シャワー浴びて出たらAV見てシコってたんだ。お互いの初任給出し合って買った55インチ4Kテレビだ。「共同テレビ汚すなっつってんだろ……」「ここが一番風通しいんだよ……今日だけ許せ」そんなやり取りをした記憶がある。それで、俺は「ごゆっくり」って、自分の部屋に、行こうと、した……ら。
『な、やんねえ? すげえやりたくなっちった』
 腕を、掴まれたんだ。そんでずるずるひっぱられて「魔窟」って呼んで俺がぜっったい入らない部屋の、いつから洗ってないんだってシーツの上に転がされた。さっぱりしたばかりだったのに、酒臭い上既に汗だくのこいつに剥かれた。奴は「なあ……俺さ、引くだろうけどさあ」なんて言いながら俺の手を股間に導いた。「勃たなくなった」と悲痛な声で。でも、明らかに勃ってたから当然そこは指摘する。

そしたら──、そう、そしたら、

「なあ、好き……ずっと、俺、お前のことヤりたくてたまんなかった」
 風呂上がりの俺を見た途端勃ったんだって。ちゃんと驚いたよ。けど俺めちゃくちゃ酔ってて目は半分閉じかけてたし、暑いし、だからロクに返事も抵抗も出来なかった──。
「好きだ、好きだ、好きだ……!」 
「……っ、あ、……うあ……」
 口を塞がれたまま、俺の下半身が精液を飛ばした。

 意識も、一緒に飛んだ。

 

 翌朝、俺は爽やかな空気に起こされた。体感は25℃。むしろ寒いくらいだ。自分の部屋の綺麗なベッドでパンツもハーフパンツも履いて、Tシャツも着ている。
──ん……?
 そして床では、肩を落とした奴がでかい図体でちょこんと正座している。
「エアコンさ……ほんとは壊れてねんだわ……すまん!」
 ごつんと頭がフローリングにぶつかる程に土下座された。奴の後頭部を見下ろす俺は、鈍痛を訴え怒り狂う尻と、久々に満たされきった性欲が喧嘩するのを右から左に──「は、ははは!」何だか笑いが止まらなくなった。

 お前は昨日「いつも澄ましてる」って俺に言ったけど、お前だってそうだよ。いつも偉そうにして……昨日だってそうで。
 なのに今は、叱られ待ちの大型犬。こんな愉快な状況無いだろう。そもそも、好きだからこんなに長く一緒にいるんだ。やるかやらないかなんてどうでも良いぐらい──好きだった。
「壊れてねえのかよ……!」
 俺はひたすら笑い続けた。悪質なレイプだと怒る気も、追い出すつもりはさらさら無い。ただ、普通に快適な部屋でやり直しがしたい。

 簡単には、言ってやらないけど。

おしまい

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